広報かみしほろの「としょかんだより」で毎月1冊紹介している書評コーナーです。
おすすめの一冊(広報かみしほろNo.674)
42 | 令和6年7月10日 17時 更新 |
概要
思いがけず利他
中島岳志
「情けは人の為ならず」という言葉があります。他人にかけた情は巡り巡って自分に返ってくるということです。書名を見て、このようなことを説いた本かと読んでみると、自分に返ってくることを見込んでやるとそれは利己的な利他になってしまうと著者は言います。
では、思いがけない利他とは何なのか。
本書では、様々な考察ののちに1つの結論を導きます。それは、利他は行為者によって生まれるだけではなく、その行為を受けた者が利他的行為と認識することで利他が発動するということです。
例えば、良かれと思って相手のためにしたことは、それを受けた相手が本当に「自分のためにしてくれた」と認識して初めて利他となると。つまり、利他は、行為がされた時点ではなく、受け手の心で発動する。または利他は未来からやってくるとも表現されます。
この結論への考察は落語における業の工程、ヒンディー語と日本語の文法を通してなされます。読後、やはりポイントは「思いがけないということ」だとわかります。
中島岳志
「情けは人の為ならず」という言葉があります。他人にかけた情は巡り巡って自分に返ってくるということです。書名を見て、このようなことを説いた本かと読んでみると、自分に返ってくることを見込んでやるとそれは利己的な利他になってしまうと著者は言います。
では、思いがけない利他とは何なのか。
本書では、様々な考察ののちに1つの結論を導きます。それは、利他は行為者によって生まれるだけではなく、その行為を受けた者が利他的行為と認識することで利他が発動するということです。
例えば、良かれと思って相手のためにしたことは、それを受けた相手が本当に「自分のためにしてくれた」と認識して初めて利他となると。つまり、利他は、行為がされた時点ではなく、受け手の心で発動する。または利他は未来からやってくるとも表現されます。
この結論への考察は落語における業の工程、ヒンディー語と日本語の文法を通してなされます。読後、やはりポイントは「思いがけないということ」だとわかります。
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