おすすめの一冊(広報かみしほろNo593)

このお知らせは1年以上前のものです

概要

役に立たない読書

<b林 望 著</b>

 国文学者で作家でもある著者は、日常の生活や仕事に役に立たない読書こそ、重要だと書いています。そして、役に立たない読書の究極は古典文学であると……。

 読書がその人の叡智の形成に作用を及ぼすとすれば、本の内容について「考える」ということがあってこそだろうと、著者は言っています。この考える営為は、読んでいる最中はもちろん、読む前の段階でも必要で、つまり、自分にはいま何が読みたいのか、何が必要なのかと思いをめぐらせることが大切だそうです。

 そうした自分の心の中で生じた内的な契機によらない読書は意味がないと、著者は言い切ります。つまり、自分が心から読みたいと思う本、必要と思う本を、考えながら読むことが、最も自分の血肉になるというのです。

 このように、本を楽しく味わうための考え方を示す著者は、自身が長年研究に携わってきた古典文学の魅力について力説します。「何百年、ものによっては千年以上も読み継がれてきた古典文学は、実用的な役には立たないけれど、人生にとっては有益だと言える」と。


おすすめの一冊
 広報かみしほろの「としょかんだより」で毎月1冊紹介している書評コーナーです。


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