広報かみしほろの「としょかんだより」で毎月1冊紹介している書評コーナーです。
おすすめの一冊(広報かみしほろNo.535)
901 | 平成24年11月22日 10時 更新 |
このお知らせは1年以上前のものです
概要
季節のかたみ(幸田文 著)
幸田文は1904年生まれ。文豪幸田露伴の娘として生まれ、自らも文筆家であったことは周知かと思います。この本は彼女が1960~70年代に書いたものをまとめたものですが、読んでいると文章の端々に日々の生活を丁寧にきちんと見つめ暮らしていく様が表われていて背筋が伸びる心地がします。
文中の「一年は十二の月のあつまり、ひと月ひと月に季節もめぐるし、ものも事も変るし、各月各様の特徴がある。一年のうちに一度しかまわってこない、その特徴。六十年の人生なら、たった六十回しか経験できないその一ヶ月一ヶ月。(中略)二月はしいんと打ち静めて、身を休め、こころを深くする月である」という件では静かな二月の雪景色の情景が浮かんできます。私達が失いがちな感性をこの本は刺激してくれるのです。
また「心ばえ」「あじきなく」「おみやげが調(ととの)えられなかった」「けぶりにもおかしいなんてものじゃない」文中のこのような言い回しには日本語の奥床しさ、美しさと共に郷愁を感じます。
慌ただしい年末ですが、休日に温かい飲み物を片手に読みたくなる本だと思います。
幸田文は1904年生まれ。文豪幸田露伴の娘として生まれ、自らも文筆家であったことは周知かと思います。この本は彼女が1960~70年代に書いたものをまとめたものですが、読んでいると文章の端々に日々の生活を丁寧にきちんと見つめ暮らしていく様が表われていて背筋が伸びる心地がします。
文中の「一年は十二の月のあつまり、ひと月ひと月に季節もめぐるし、ものも事も変るし、各月各様の特徴がある。一年のうちに一度しかまわってこない、その特徴。六十年の人生なら、たった六十回しか経験できないその一ヶ月一ヶ月。(中略)二月はしいんと打ち静めて、身を休め、こころを深くする月である」という件では静かな二月の雪景色の情景が浮かんできます。私達が失いがちな感性をこの本は刺激してくれるのです。
また「心ばえ」「あじきなく」「おみやげが調(ととの)えられなかった」「けぶりにもおかしいなんてものじゃない」文中のこのような言い回しには日本語の奥床しさ、美しさと共に郷愁を感じます。
慌ただしい年末ですが、休日に温かい飲み物を片手に読みたくなる本だと思います。
備考
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