おすすめの一冊(広報かみしほろNo.531)

このお知らせは1年以上前のものです

概要

殴り合う貴族たち 平安朝裏源氏物語

繁田信一/著


 平安時代の貴族のイメージと言えば、紫式部の『源氏物語』のような優雅な暮らし。しかし、現実はまるで違ったことをご存じですか?

 本書は、藤原道長・頼通全盛時代(11世紀前半頃)を知る上で大変重要な資料とされている『小右記』を読み説きながら数々の事件を紹介しています。道長の息子能信が起こした暴力事件や拉致監禁、首謀者不明の皇女殺人事件などの仰天エピソードが丸々一冊書き連ねられているので驚きです。ちなみに『小右記』とは藤原実資の日記のこと。実資はとても賢明な人物で、日記と言えどその信憑性は非常に高いのだそうです。

「この世をば わが世とぞ思う 望月の 欠けたることの なしと思えば」という道長の有名な句には、当時藤原家がどれだけ絶大な権力を握っていたかが象徴されています。しかし、「この世は全て俺のもの!(著者訳)」と言ってしまえる道長が大きな力を持った時代は確かに、“平安時代”と呼ぶには程遠かったのかもしれません。


おすすめの一冊
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