おすすめの一冊(広報かみしほろNo.522)

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概要

後宮小説

酒見賢一/著

 舞台は十七世紀。素乾国では新帝の即位に伴い、後宮も一新することになった。「宮女になれば三食昼寝付き」と聞きかじっただけの十四歳の田舎娘・銀河は、国中から集められた美女と一緒に宿舎に入る。さっそく始まった、お妃候補としての生活とは…?
 銀河と同室になった三人の女たち、後宮哲学を講義する先生、神出鬼没の謎の女など個性豊かな人物が登場します。その中で、好奇心旺盛でまっすぐな性格の銀河がひときわ強い輝きを放ちます。宮女を率いて、国家転覆を企てる勢力との戦闘を開始する終盤の展開は、大胆にして爽快。
 ところで、著者は最初に典拠文献として「素乾書」「乾史」「素乾通鑑」の三種の歴史書を挙げ、時には『乱ノ前、新正妃立ツ。幼名ヲ銀河ト称シ…』などと引用もしています。しかしこれは架空のもの。架空の文献を元に架空の話を書いているという体裁がこの小説の最も面白いところでしょう。本当か嘘か、読者を惑わせる記述が満載です。
 第1回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、直木賞候補にもなった、明るく楽しい歴史ファンタジー。


おすすめの一冊
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